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マッチング事例

事例③

地域資源とスポーツの融合で
地元に永続する夢のあるクラブへ


[業種]サービス業
株式会社松本山雅
(松本市)

受け入れ企業

株式会社松本山雅
代表取締役社長神田 文之さん

松本市、塩尻市、山形村、安曇野市、大町市、池田町、生坂村をホームタウンとするJ1リーグ加盟の「松本山雅FC」の運営会社。農業や健康教室、サッカー教室、運動会や地域活動の参加などさまざまなホームタウン活動も展開。

客員研究員

リサーチ・フェロー
星野 亜紀子さん

神奈川県藤沢市在住。1990年代中盤、Webサイトビジネスの黎明期といわれた時代から一貫してディレクション、プロデュース、コンサルティングに携わる。電機メーカーや広告代理店、ホテルチェーンなどのブランディングやコミュニケーションプラン、ひいては経営企画への参画などを経験。東日本大震災後は沖縄の離島に移住し、ローカルの暮らしを実践。2013年に独立し、主に星野リゾートのブランディング業務に従事。二人の女児を働きながら育てるシングルマザーでもある。

ミッション

練習拠点がある地域との連携強化、地域活性化のための具体構想、コミュニケーション推進部のスタッフとミッションを共創することで社員教育を実施

リサーチフェローの取り組み成果

「地域資源と総合運動施設の融合による地域の活性化事業」という命題と「通常業務の軽減や底上げ」という2軸で仕事を実践。前者の命題については「かりがね練習場」と周辺の浅間温泉や美ヶ原温泉をつないだ地域活性化に向け、松本山雅の参入が見込める手応えを感じています。また、各スタッフが抱える業務量の軽減を図り、プロに任せるべき部分は任せ、組織の基盤づくりから行ったほか、業務のプライオリティをつけて事業の課題整理をしています。

近い将来の未来ビジョン・展望

地域資源と総合運動施設の融合による地域活性化事業の戦略立案
練習拠点がある地域との連携を強化し、地域活性化のための具体構想を描く
コミュニケーション推進部のスタッフとミッションを共創することで、社員教育を実施
企業戦略チームと日々の業務支援チームに分けて作業の分担を図り、経営戦略室を設立

未来のシナリオ

地域資源と総合運動施設の融合による地域の活性化事業は、フィールドワークや専門家からのアドバイスを通じ「かりがね練習場」と周辺の浅間温泉や美ヶ原温泉をつないだ地域活性化に向け実際に松本山雅がハード面でもソフト面でも参入できそうな手応えを感じています。また、スタッフがプロデューサーとなり、チラシデザインなどの業務を外注することでこれまで自分たちが手がけていた仕事を「見える化」し、業務の軽減を図っています。さらに、実際に今後も松本山雅の仕事に携わり、5 年ほどの中長期的なビジョンを掲げるなかで「われわれの事業は何であるべきか」の再定義をし、サッカービジネスや地域貢献活動を改めて見つめ直すことで松本山雅らしい新しいメソッドを立案し、スポーツ以上の価値の創造から100年企業をめざします。

受け入れ企業の感想と期待

地域に100年続くクラブをめざし、経験とエネルギーある
リサーチ・フェローとマッチング

当社はJ1リーグで戦う松本山雅FCを運営し、松本市を中心とした地域で休耕地での農業や高齢者の健康教室、子どもたちを育成するサッカーチームの運営といったさまざまなホームタウン活動(地域貢献活動)を展開しています。そうしたなかで、私はどうしたら当クラブはより強くなり、地域に永続する夢のあるチームになれるのかを考え、サッカー以外の角度からの多様な事業展開が重要だとのイメージを抱き、情熱をもって地域を変えていくパワーをもった人材がほしいと感じていました。そんな折、今回のプログラムのマッチングを担う日本人材機構の担当者と出会ったのです。Jリーグには「地域に100年続くクラブをつくる」という構想があるのですが、今回の「信州100年企業創出プログラム」はまさにめざす方向が同じだと感じ、参画しない手はないと考えました。そして、取締役会で「地域で具現化できるホームタウン活動のプランニング」という大枠の題材を設け、紹介していただいたのが星野さんでした。
 星野さんは体は小さいながら内に秘めたパワーを感じ、当クラブにはいないキャラクターと存在感で

星野リゾートのプロモーションなど多様な経験があるため、放っておいても何か成果を示してくれるという期待感がありました。また、女性であり、スポーツビジネスに関わった経験がないことも新たな切り口につながると感じました。ただ、一番の懸念は腰掛け仕事で来ているのではないかということでしたが、星野さんからは「第2の故郷となる地方都市を探していた」との話もあり、仕事として勝負にきているスタンスが伝わってきて、それなら力になってほしいとトントン拍子でマッチングは進みました。


スポーツを通じて地域を元気に!
リサーチ・フェローの活躍が社内での刺激にも

現在の星野さんは社内に気づきを与えてくれる存在としてさまざまなシーンでスタッフから同行を依頼され、期待以上の活躍をしてくれていると感じています。また、当社は企業理念に「未来への夢と感動へチャレンジ」を掲げていますが、それをサッカーでは表現できても、なかなか事業や社風では表現できない物足りなさを感じていました。そうしたなかで、星野さんの活躍により社員に少しずつ思い切った挑戦をするマインドが育まれ、社内の変化を感じています。
 加えて、練習場がある「かりがねサッカー場」周辺にはスポーツ施設や教育施設等を集約させ、子どもたちが気軽にスポーツをし、トップチームの選手も練習をする「山雅タウン構想」をつくっています。当社はその近くにある浅間温泉や美ヶ原温泉の組合員にも元気になってもらいたいと、星野さんには星野リゾートでの経験を生かし、まずは6カ月スパンで何か形にしてほしいと動いてもらっています。星野さんのフィールドワークによって今は形が見えつつあり、3月までのプログラム終了までには大きな仕組みをクラブに残してもらえる期待がより強まっています。また、個人的にはこれまで進みたい方向性があっても社内ではトップダウンの話になってしまい、響きの悪さを感じていました。しかし、同じことを言っていても星野さんが違う角度から話をしてくれると社員の納得度が違います。これによって私が向かうべき方向性は間違っていなかったと実感できますし、星野さんには経営的な面も含めて力をもらっており、考えが形になりつつある安心も覚えています。さらに信州大学とのつながりができたことで、今後は産学連携がより深められるきっかけもできたと感じています。
 そのうえで、これからの星野さんには多方面での未来像を社内に落としてもらう役割や、私が見きれない飲食事業の喫茶の経営的サポート面でも頼りにしています。4月以降は引き続き当社での勤務を続けていただきたいと、今はご家族の移住も含めて話しているところです。

新たな視点からのビジネス感覚や
気づきを生かした地域企業の活性化

信州という場所をさらによくしていくためには、外からの吸収と中からの発信が大切だと考えています。今回のプログラムは地方で働きたい人を積極的に受け入れるため、地域では見えなかったビジネス感覚や気づきをもらえました。それをほかの地域密着企業にも有効に活用してもらい、さらに地域と多くの企業を元気にしていけたらいいなと感じています。

リサーチフェローの感想と期待

アカデミックな学びの機会と
地域活性化の課題に興味

インターネットの黎明期といわれる1999年頃から制作ディレクターやプランナーといったWebに携わる仕事をしてきました。そして広告代理店でプロデューサーとして働き、独立後は主に星野リゾートのブランディングの仕事に取り組んでいます。今回のプログラムは専門職の人材マッチングを行う特殊派遣会社からの紹介で知り、今まで専門性を高める勉強のチャンスがなかったなかでアカデミックな学びを得る絶好の機会だと興味を覚えました。信州大学のプログラムでなければ応募はしていなかったかもしれません。また、仕事をしながら勉強もサポートしていただけることはとても興味深く感じました。
 まず、日本人材機構から4社ご紹介いただき、そのひとつが松本山雅でした。そもそも私はスポーツビジネスを手がけたことがなく、サッカーの知見もなかったのですが、「サッカー以外に新機軸となるビジネスをつくりたい」という課題に興味があったことと、情熱やモチベーションを大切にされている神田社長からの強いオファーもあってお応えした形です。また、かつての寝る間もないハードな働き方に疑問を抱いていたなかで、地域貢献に力を入れている同社で地域活性化の仕事に携われる仕事にも興味を覚えました。

地域資源と総合運動施設の融合による地域活性化事業と通常業務の軽減

現在はコミュニケーション推進部に所属し、Jリーグトップクラスといわれるホームタウン活動に帯同しつつ、「地域資源と総合運動施設の融合による地域の活性化事業」という命題と「通常業務の軽減や底上げ」という2軸で仕事に取り組んでいます。各スタッフが抱える業務量は多く、また、外部に発注すべき仕事も社内でこなしていたため、最初の1~2カ月は仕事を伝播し、組織の基盤づくりから行いました。今は夜みんなでご飯を食べに行ける余裕ができています(笑)。また、業務のプライオリティをつけて事業の課題整理をし、今はちょうど棚卸しが終わった段階です。
 本来の命題に対しては、フィールドワークをしたり専門家に会ったりするなかで「かりがね練習場」と周辺の浅間温泉や美ヶ原温泉をつないだ地域活性化に向け、実際に松本山雅が参入していけそうな手応えを感じつつあります。
 なお、松本山雅の特徴はゲーム前日から設営や準備を全部スタッフのみで行うこと。そこに私も携わらせてもらい、機材の搬出入を一緒にやったことで、早い段階からスタッフたちと信頼関係が築けたと感じています。一方、 J1とJ2ではサポーターの数が圧倒的に違い、チケットの売上も向上することから、今後は業務量の増加も予測されます。そこで今後は企業の戦略に向かうチームと日々の業務を支えるチームを分け、経営戦略室の立ち上げも社長に提案しています。

魅力ある松本での暮らしと
松本山雅での中長期的ビジョン

ライフスタイルとしては、普段は火曜から金曜までは松本で過ごし、週末と月曜はシングルマザーとしてふたりの子どもと両親が待つ神奈川県藤沢市の自宅で過ごす 2 拠点生活をしています。信州での生活の豊かさを知り、東京で満員電車に乗って仕事をしようとは二度と思わなくなりました。何のためにどこに住んで働くのかが大事だということを、松本の魅力を知れば知るほど感じています。松本は水と空気がきれいでストレスもないため、今は東京に帰ると「肌ツヤがよくなった」と言われますし、北アルプスの山並みも新鮮です。
 今後はプログラム終了の3月までに総合運動施設との融合による地域活性化事業戦略を立案し、来期4月以降は実施の段階に入っていけたらと考えています。机上の空論だけ残して立ち去るのはコンサルタントとしていかがかと感じていたので、実際に今後も松本山雅の仕事に携わり、社長とは5年ほどで大きな結果を出そうと中長期的なビジョンを語り合えていることはとてもやりがいを感じています。

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信州100年企業創出プログラム事務局
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